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第19話
「えーっと、その……ごめんなさい。0です」
「一回もない、と」
「それどころか、俺、あっくんとあの素敵警察官が未だに一致しないかな。言われて気付いたけど、面影はほとんどないし」
ああ。天下の竜宮家の使用人の辰崎さんにこんなこと言ってしまって大丈夫だろうか。
竜宮家に相応しくないとか、成敗されてしまわないかな。
「でも、その、あのですね」
「一回もない。それは素敵なことですね」
「素敵……?」
揺れる水面を見ながら、辰崎さんが言う。
「私は親が決めた政略結婚だったのですが、初めて奥さんを見たのは、初夜でした」
「ひぇ」
「でも、とても淑やかで美しく、私は毎日、彼女の新しい一面に触れる度に恋心を募らせ、そして幸せでした。――今から、旦那さまのことを一から知っていけば、あの方ならば絶対貴方も好きになると思いますよ」
俺が、あっくんを好きに。
一回りも離れた男と結婚しておいてあれだけど、未だにドッキリとかじゃないのかなって思ってるのに。
「その顔は信じていませんね」
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