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第27話
素直にそう言うと、その人は一瞬真顔になった後取り繕った笑顔に変わる。
『あー、そう。まあ質問ぐらいなら偶に答えてやるよ、でも今日は駄目だ。またね』
俺の相手をしたくない。
それは、俺ではなく、俺と言う対象におべっかやお世辞や媚を売れる気分ではなかったからだ。
俺が和葉さんを初めて見つけた日は、色々とごたごたに巻き込まれた和葉さんが、学校を停学にされた日だった。
遊具の上で、沈む夕日に染められていく和葉さん。
俺はこの人を守ってあげたいと、この人の為に強くなりたいと思った。
停学からそのまま退学しようと荒れていた和葉さんに、俺はじゃあ俺と結婚すればいいのに、とプロポーズするのだが、敢えなく玉砕する。
でも10年後に成功するから問題はない。
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