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第32話

なのに大学で、よく何を読んでいるの?と話しあっけてくる女性がいるけれど、『これだよ』と和葉さんの本を見せると逃げていくんだよね。 内容を読みもしないうちに逃げるとはどういう躾をされてきたんだが。 「和葉さん。そろそろ俺、仕事行ってきますね」 開かない襖の向こうの、修羅場中の和葉さんにそういう。 返事はないけれど、いちいち寂しがったりしない。 結婚できただけでも俺は恵まれているんだから。 それよりも脱稿した和葉さんのために、俺はまた警察の制服で抱きしめてあげようかと思ってている。 和葉さんが喜んでくれるなら俺はいくらでも頑張れるんだから。 結婚するために同姓婚の婚姻届けを受理してくれる市にわざわざ家も建てたし、新婚生活を満喫したいからお手伝いさんはほぼ雇わなかったし。 この生活を続けれらるなら俺は努力を惜しまない。

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