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第49話
「本当ですか? 俺、10年待ったんですからあと一年ぐらいはゆっくり懐柔していこうかと思ってたんですよ!」
「……いやあ、俺はあっくんが良いなら別にいいよ。自分の体を勿体ぶるつもりはないし。さらに官能描写が深くなるかもしれないし。今まで妄想で書いてた部分とかさあ」
「そこに和葉さんの気持ちはありますか?」
急にあっくんが俺を膝から降ろすと、ちょっとだけ距離を取った。
子どもみたいに表情がころころ変わる。
「俺が好きで抱かれたいって、今の言葉から一ミリも感じてこなかったです」
「え、や、可愛いし好きだよ?」
「軽い! 俺の言葉に比べたら薄っぺらい! まだ俺のことをそんなに好きじゃない!」
「そりゃあ10年級のお前の思いには、一週間やそこらで追いつかないだろうし。臓器ぐらいしかお前に提供できるものないし」
なかなか、カチッとお互いの気持ちがうまく重ならず、あっくんは悲しそうだし不満そうだ。
「まあそれでも、エッチしたいぐらいには好きになってきてくれてるってことですね。前向きに思います」
勢いよく立ち上がったあっくんが、俺に手を伸ばす。
「お風呂から出たら、ご飯にします? 俺にします?」
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