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第52話

お味噌汁の匂いがする。 お玉で掻きませながら、居間でテレビを見ていた俺に、あっくんが呼びかける。 「すみません、和葉さん。もう少しでできますから」 「どれどれ、手伝いますよー」 俺がお願いしたことは、『台所で後ろから抱きしめる』 料理をする裸エプロンのあっくんの後ろ姿が見たかったんだ。 ああ。おたまでお味噌汁を混ぜるその後ろ姿。 背中の引き締まった筋肉から、固くてごつごつしてそうなお尻。 足の太ももだって俺の何倍もありそう。 この後ろ姿、今度俺の官能小説の挿絵として飾りたいぐらいだ。 「和葉さんは座っていてください。お味噌汁は沸騰すると風味が逃げるので温める間目が離せないけど、すぐできますんで」 ああ、できた嫁だ。 こんな嫁になら、俺の臓器をすべて提供してもいい。 そんな思いを込めて後ろから抱きしめた。

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