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第65話
我慢とか言って、俺が我慢できたのは19時までだった。
珍しい六限が終わり、気づいたら和葉さんに会いたくて震えている。
これは末期症状だ。
寝顔を見たい。もしご迷惑でなければ隣で眠りたい。
もちろん、初夜はちゃんと部屋を整えて、一生残る大切な時間にしたいので急がない。
せめて朝みたいにイチャイチャしたい。お風呂であんな素敵な時間を過ごせて、死んでもいいと思ってしまったが死んではいけない。
髪を撫で、体に触れたい。
10年前、ランドセルを見て適当にあしらわれた俺はもういない。
今は、なんとか上手く入籍させて何となく餌付けしてなんとなく懐柔されつつある和葉さんに、本気で好きになってもらいたいんだ。
そしていつか……高校を中退しそうになったほど大変だった時期の話を、和葉さんの口から聞きたいな。
全て受け止める。すべて支える。すべて和葉さんだから、俺は受け入れる。
「おーい、黄昏れ中すまんが、お前も今から飲み会に参加してほしいんだとよ」
伝言を渋々伝えに来た恵に、俺はにっこり笑う。
「君はまずお風呂に入りたまえ」
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