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第74話
マリッジブルーの旦那を、俺はどうしたらいいのだろう。
刺激したらいけないなら、和葉さんの気持ちに沿って行動すればいい、んだよね?
テーブルにメモがわりにファックス用紙を二枚置くと、和葉さんが俺にペンをくれた。
「お互いのルールを作るから、書いて」
「は、はい」
「正直に書かなくて後で違うとか言われても、困るから」
なんだろう。吹っ切れたような、晴れた青空のような笑顔なのに、怖い。
有無を言わさない雰囲気があって怖い。
ルール、か。添い寝したいのに、寝室は別って言っていた。けどここは話し合ってお互いの気持ちをすり合わせるためだから、してほしいこと、したいことをとにかく書こう。
ちらりと和葉さんを覗くと、和葉さんも真剣に書いている。眉間の皺が可愛い。
悪いと思いつつどんなことを書いているのか見てみると、一個だけはっきり見えた。
『カップラーメンの汁は塩分が高いから飲むの禁止』
「和葉さん!」
「何?」
「この屋敷にインスタント食品は何もないし、俺は和葉さんにそんな不健康なもの食べさせません!」
なんと恐ろしい。そういえば、訪ねた時、和葉さんの家の廊下に箱買いしたインスタントラーメンが大量にあった気がする。
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