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第82話

どうせ、俺は屈強な筋肉もないからそんな着物で着飾るしか、オークションで売れないんだ。 それかアラブの石油王系の金持ちに、着飾って贈呈するんだ。 「和葉さん、まだ不安そうな顔が晴れませんね。こうなったら、実力行使です」 「え」 「この私めが、貴方を気持ちよくさせ、不安を吐かせてしまいましょう」 「ええええ」 か、官能小説だ。俺が書いた官能小説の中だ。夫が留守の間、人妻を襲おうとした執事が、逆に亀甲しばりされてバイブで虐められちゃう話だ。情事は、昼下がりの緊縛の中で、だ。 「だ、駄目です。俺には、花屋のあっくんが」 「これを見ても、そんな口が開けますかな」 テーブルの上には、バイブ――ではなく箱にはいたお酒が置かれていた。 「竜宮家は酒造も持っておりまして、私めが芋焼酎をプロデュースさせていただいております」 「え、昼下がりの緊縛じゃないの?」 「ひ?」 辰崎さんが驚かれたので慌ててサンドイッチを口に入れて誤魔化す。 「こちら年に4本しか作られない、ヴェネツィアで作られたワイン、人魚の涙。心が浄化される美味しさです。こちらは私のお気に入りの赤ワイン、それで私がパッケージかこだわった、甘口と辛口の芋焼酎は――」

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