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第95話

「え、あの、その」 「なんだ?」 「俺と結婚するのに、何が不安なんですか?」  自慢じゃないけど財力には自信がある。和葉さんが働きたくないと言えば働かなくていいし、ヨーロッパに城が欲しいと言えばメンテナンスや修繕が大変なだけの城を何個でも購入しても構わない。  新婚旅行は世界一周でも二周でも、和葉さんの希望を何でも聞いてあげられる。  嫁に行ってもいいように、料理、家事も一通り身に着けた。  顔もそこまで悪くないとは思っているし、人に不快感を与えないように過ごしてる。 こんな俺で不安な部分がるとしたら、それは……。 「俺が12歳も年下で、子供っぽくて『可愛い』、頼りない存在だからですか?」 「は、違う。お前は確かに可愛いけど、不安なのは……」  何か言いかけた和葉さんは、ふと我に返ったかのように唇を噛み締める。 真っ白になるまで噛むので、その唇を舐めた。 「すいません。言いにくいことを」 「あっくん」 和葉さんが、俺の背中に手を回す。 「離れたく、ない。贈呈、いやだよ」  背中に回った手の温かさと、震えている様子に俺も急いで片手で抱き返した。 「離しません! 絶対に俺は貴方を――」

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