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第104話
「でも指……」
「俺は、貴方に受け入れてほしいので俺のお尻は開発しないでいいです!」
年下の俺が、和葉さんの指で翻弄されてしまったらそれこそ面目が立たない。
「俺は貴方と12歳も離れているのがコンプレックスなんです。年齢なんて埋めれないから、せめてそこだけでも貴方をリードしたい」
「……じゃあバイブ」
「指より駄目」
「嘘つき。花屋野郎」
腕を噛まれた。けど全然痛くない。抵抗もしない。痛みさえも和葉さんの本音ならば耐えられる。
髪を撫であやす様に体をさする。初めて二人で眠って夜を明かすだろうこの日が、こんなことになるとは思わなかった。
けれど和葉さんが何かにとても怯えている分かったので、それだけは酔っていないときに俺が自分で聞いておきたい。
「和葉さん、絶対に俺、貴方に俺のこと信じさせてみせます。指をいれなくても、信じてもらいますから」
「……あっくんのばかばか、うんこ野郎」
子供すぎる悪口と、官能小説家らしくない語彙力に平伏しながらもただただ抱きしめるだけの甘い夜を過ごした。
火照っているのは、お酒のせいだけじゃない、と願う。
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