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五、おひとり様歴。

Side:乙宮 和葉 『乙宮和葉。30歳にもなって童貞で気持ち悪い。しかも経験ないのに、官能小説家って? お仕置きが必要ね』 鞭を持ったボンテージ姿の思いっきりS全開の女王様が俺を見下ろしている。 この人、俺のデビュー作で刑事をSM調教した悪役SM嬢だ。 ということはこれは夢の中だ。  今見たら、すっごくリアリティに欠けるなあ。 『何をぼーっとしてるの。早く私の靴にキスしなさい』 「あー、俺、結婚して嫁がいるんで」 しかも嫁、年下で裸エプロン似合うガチムチで絶対嫉妬深いし。 俺が浮気したら、この悪役の方を消しちゃいそうだし。 『何をごちゃごちゃ言ってるの。えーい!』 腹が立ったのか、鞭で頭を思い切り叩かれた。 う。夢なのに頭が本当にズキズキする。  これは快感目的の鞭じゃない。俺の頭を割れそうな痛みを与えるだけの鞭で、プレイじゃなく拷問に近い。 『ふん。そうだわ。縛ってあげる。これで』 鞭を捨てたSM嬢が持ってきたのは、着物の帯だ。 昨日家の中を探索したときに見つけた真っ赤な帯だ。 このままでは、この帯を体中に巻かれ、この女に『よいではないか』とくるくる解かれてしまう。 ああ、でもさっきの鞭で頭が割れるように痛くて抵抗できない。

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