114 / 268

第115話

「これから、俺と10年以上、いや、20年、30年生きるんだ。子どももできず二人っきりで、だぞ」 「はい。和葉さんを独り占めできるなんて幸せすぎます」 きっぱり言いのけたあっくんの目には、嘘は書いてないように思える。 自惚れかもしれないけど、あっくんの顔に『和葉さんが好きです』と書いているように感じた。 「……でも」 証拠は出ている。言い逃れできないほど、俺を売る算段を俺は知っている。 「お前、アラブの王様系と交流あるだろ」 「そうですね。昨日も競りでなかなか向こうが引かないので、貿易打ち切ろうと思ってしまいましたが、普段は仲は悪くないです」 「……そうだろ。それが答えなんだ」 内臓脂肪がつかない食事、隔離された屋敷に幽閉、石油王、贈呈。 大体のワードを見ても、誰がどう見ても答えはこう答えるはずだ。 海外の有名顧客、または金でモノを言わせて自分の病を治したい石油王のために、俺の内臓を売りさばくはずだ、と。 「はっきり言ってください。はっきり言わないと、俺本気で聞き出しますよ。すっごい拷問で」 「――すっごい拷問?」

ともだちにシェアしよう!