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第118話
「あっくん?」
「か、身体って、俺が10年間我慢してたのは性欲ではなくて、いや、性欲も8割はあるかもしれないけど、それだけじゃなくて」
「え、もしかして俺の内臓売買って、二つある腎臓系だけ?」
それなら結婚生活も続けて、石油王に俺の腎臓を売れるってわけか。
そうだったんだ。
「えーっと、待ってください。一分時間をください」
あっくんは、俺を組み敷き、見下ろしたまま黙って何か考えだした。
それは一分というにはあまりに長く、息苦しい時間だった。
「俺は、二つある内臓ならやるよ。……そこまでお前には色々してもらったし、いいよ」
「………和葉さん」
苦い顔で俺を見ながら、泣き出しそうな顔で口を小さく動かす。
「すっごく、すっごい誤解してますよね? 俺が貴方の身体目当てなのは八割認めますよ。そりゃあ、結婚したらえっちなことしたいです。週10回は体を繋ぎたいです。キスもしたいし、抱きしめたいし、エッチなんてもう、ひゃっほーっです。ですが、待ってください」
なかなか、正直な男だ。と感心してしまいそうになるが、あっくんの様子が変だ。
「俺、和葉さんの内臓目当てではないですよ?」
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