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第119話
「え。でも」
「でも?」
「内臓脂肪の付かない料理とか」
「それは俺の身体作りです。和葉さんは屈強な肉体が好きそうなので」
ものすごく重たい沈黙の後、地の底を這うようなため息が吐かれた。
「俺、最初からずっと、それこそ10年前からずっと、貴方が好きですって言ってましたよね? なのに俺が和葉さんの内臓目当て? なんでそうなるのか、本当に理解できません」
「だって、海運王とまで言われた竜宮家だし。闇の密売とかで権力と地位を高めてきたんじゃないのかなって」
「闇の密売なんて一切ありませんっ」
えっと。まあ、薄々俺のネガティブな思い込みの部分もあるかなって思いもあった。
精々、内臓の寄付ぐらいかもしれないんじゃッて夢を見ていた部分もあった。
「つまり」
「俺は嫁として、貴方の身体目当てです」
「オークションでM字開脚させて『初物です』とかして、会場をどよめかしたり」
「そこを見ていいのは、俺だけです!」
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