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第127話

「じゃあ擦る」 「握ったままでいいです」  からかうのが面白くてつい握ってしまったが、もちろん、握ったままでは眠れるはずもない。 寝にくいのを我慢しつつ、仕方なく眠る。 「あっくん、あのね」  けれど、また虐め足りない。 「何?」 「俺ね、おひとり様行為は、布団を足の間に挟んでね、きゅって擦りつけるの」 「――まじっすか! か、可愛い……」 「まあ嘘だけど。おやすみ!」 片手で握ったまま寝がえりを打ち、反対方向を向く。 「は、はああああ? ちょ、ええええ。和葉さんっ」 「嘘だよん。お休みってば」 振り返ってまた頬にキスする。すると、悔しそうにあっくんの顔が歪む。 「子ども扱いしないでくださいっ 二日酔いが覚めたら覚悟しといてくださいね」 「はいはーい」 悔しいのか、後ろから抱きしめられた。 おかげで握っていた手を離され、背中に押し付けられる。 俺が寝るのと、あっくんの下半身の膨張が大人しくなるのは、どっちが早いだろうか。 「くそう。とんでもない人を好きになってしまった……っ」 それでも可愛い俺の嫁。 二日酔いから目覚めたら、――夫婦としてもう少し進んでみよう。 悪いことは考えないように、あっくんを心から信用するために。

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