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第128話

あっくんに抱きしめられて眠ると、今朝見た夢を思い出す。 体中を帯が締め付けるような息苦しさ。 イチャイチャしている間は平気なんだけど、苦しくなるのはなんでだろう。 胸が熱い。心も熱い。なのに、胸が締め付けられるこの痛みは何だろう。 「痛っ」 あっくんの声で目が覚める。 ほんの一瞬目を閉じたつもりだったのに、庭を見ると影の位置が移動していた。 充電したまま放置していた俺の携帯を見ると、とっくに昼は過ぎている。 頭は、痛いような痛くないような程度。 そして痛いと漏らしたあっくんはぐっすり眠っている。 そして俺の手には、三本の毛が握られている。 ……寝ぼけて毟ってしまったらしい。ごめん。  しかも下の毛だ。いつの間に俺は、下着の中に手を入れてしまっていたのだろう。   胸が苦しい夢を見て、その苦しさから抜いてしまった、らしい。 申し訳なさすぎる。 けれどあっくんは少し目尻に涙が浮かんだだけでぐっすり眠っている。 ……可愛い。瞼にキスすると、どうしようもない甘酸っぱい感情が沸き上がってきた。

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