128 / 268
第130話
「ひえっ」
慌ててパソコンを閉じたが、目を擦りながらあっくんが寝ぼけ眼で寝室に入ってくる。
「今、和葉さんがエロい顔してました」
「してないよ! 全くしてないよ。健全な顔でむっと引き締めた顔をしていたはず」
「……へえ」
全く信じていないあっくんがにじり寄ってくる。
「寝室に入ってきたらダメって言ったでしょ?」
「一個だけ確認させてください。そうしたら退きますので」
そう言いつつ、あっくんは俺の浴衣の裾を持ち上げた。
「……これ、なんですか」
「えへ」
30歳の、笑顔で誤魔化せ光線は流石に気持ち悪いのか不機嫌そうだ。
「俺が寝てるときに、なんで下着の中を大きくさせているんですか――!」
「わあああ。大声で言うな」
「というか、いつの間に下着を、というか、何見てたんですか!」
「やめてーっ プライバシーっ」
嫁がこんなDV気質があったなんて知らなかった。下半身を膨らませた俺からパソコンを奪い取ると、画面を開いてしまった。
ああ。
「……次の書籍の挿絵、ですか?」
じろりと画面を見るあっくんに、俺は観念して頷く。
「そうですか」
静かにパソコンを閉じると、そっとめくりあげていた浴衣の裾を戻してそのまま立ち去ろうとする。
「あっくん?」
ともだちにシェアしよう!