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第133話
「あっくん。夫婦の間に隠し事はないんだよね?」
「えーっとはい、でもまあ」
「何?」
「結婚写真撮ってから言います、じゃ駄目かな?」
落ち着きなく目を泳がせるあっくんに、俺の目が追及するように細くなる。
「その隠し事は、俺が知ったらショックで実家に帰るレベル?」
「わ、分かりませんが、もしかしたら本当になるかもなので、少し待ってほしいなって」
言葉も濁し、目も泳がすあっくん。
これが浮気の追求だったら完全に黒みたいな反応だけど、仕方ない。
「いいよ。一回だけな。俺も傷つけちゃったし」
「少し待ってください。本当、絶対嘘はそれだけなんで」
やっぱり嘘があるのか。まあいいけど。
「あっくん、お腹空かない?」
「そういえば、何食べます?」
突っ伏していたテーブルから起き上がると、いそいそと台所へ向かう。
ので、俺もあっくんの腕を捕まえて付いていく。
「俺も手伝えそうなもの」
「――っ」
「なんだよ」
「いえ。和葉さんが俺に作ってくれるとか、もう。永久保存したい」
食べろよ。
「俺も少しは、家事しなくちゃ。家にいる時間は俺の方が多いからな」
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