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第142話
「やっぱ俺が和葉さんの写真撮りますよ。あんなお手玉と畳に興奮してる変態に、和葉さんの美しさは分からないでしょ」
「えー、だめだよ。俺はあっくんの写真欲しいし」
「お互い撮り合いしましょうか。で、合成して」
「……でも結婚写真だし、並びたいなあ」
抱き合ったまま、二人であーでもない、こーでもないと話していると、大きく咳払いされた。
「ううううん。うん。ううん。ごほん」
辰崎さんが居る前で、ついイチャイチャしてしまった。
慌てて離れたけど、立崎さんはめでたい日なので言葉を飲み込んでくれたようで咳払いのみだった。
「私めが、未熟ながらお二人の写真を撮りましょうか」
「わー。じゃあお願いします。あとで辰崎さんも一緒にね」
「いえ、私は」
「いいじゃん。辰崎さんはずっと俺の面倒見てくれて、第二のじいちゃんみたいなもんでしょ?」
あっくんが微笑むと、辰崎さんが頷く。
「大きくなられて、私にも気を使ってくださるお言葉まで。……本日を迎えられて、私は本当に幸せ者です。どうか、どうかお幸せに」
「はい。まあ、和葉さんが俺の前に現れてから不幸せだったことなんて一度もありませんけどね」
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