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第144話

「でも100カットも撮ってたら、二人の写真撮れなくない?」  俺は自分の、食べても肉が付かない体も外に全く出ないせいで真っ白な肌も、ハエが絡みそうなほど長い睫毛(とあっくんが言っていた)もあまり好きじゃないから、きっと100カットは黒歴史になると断言できる。 「そうですね。和葉さんがお疲れになると思いますよ」  辰崎さんも一眼レフを手入れしながら頷く。 「その一眼レフ、性的に黒いですね。お高いでしょう」 町田さんもまた違うものに興奮してしだしたし。 「じゃあ、……くうっ 80カットで」 今にも死んでしまいそうな苦し気な表情。苦渋の選択をしてくれたらしい。 「その代わり、撮影中の油断した素の和葉さんは俺が担当します。退屈であくびしたり、疲れて転寝したり、退屈で背伸びしたりとか」 なぜかあっくんもかぶっていた帽子の中から一眼レフを取り出してきて、いそいそと構図を決めだした。 まあ、いい。もう写真については言及しないけど、でも写真の後は? とうとう初夜、のつもりなんだけど、あっくんはどんなつもりなんだろうか。

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