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第153話
隠しもせず直球で言われ、赤面せずには居られなかった。
どうしていいのか分からず、でも繋がった手から伝わる体温は嘘じゃない。
火傷してしまいそうなほど熱く、身を焦がす。
「抱きます。抱かせてほしいと土下座じゃなく、合意の元、抱きます」
「え、その、お、おう。あ、でも、えっと」
大人のリード、と自信満々に言っていたくせに、あっくんの言葉に焦って全然余裕なんてなかった。
余裕があるはずない。
俺は経験なんて全くないのに、小説を書いてるから頭でっかちで妄想だけ長けているだけ。
今すぐ足元から崩れ去ってしまいそうなほど、怖い。
するとあっくんは靴も履かずに縁側から庭へ降りると、花を手折って俺の元へ戻る。
まるで儀式かのように、花を俺の頭に飾ってくれた。
優しい。彼はいつも優しく真っすぐ。誠実で嘘偽りのない。
「今日、貴方の花を散らせます。あの」
「えっと、はい」
「抵抗するなら今しかないし、何も言わないと同意ありと思うけど」
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