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第154話
無理やりはしない、ということか。
「いや、同意ありって日本語おかしい? あれ?」
赤面しつつ動揺するあっくんの手が、じわりと湿る。
あっくんは、強引に結婚の約束を守らせようと特攻してきたくせに今一歩強引さが足りないんだ。
そんなキャラ、俺の小説じゃあキャラが弱いって書き直しだと思う。
でも目の前のあっくんは、生きていて俺の言動一つで一喜一憂しちゃうし、最後の最後で俺に選ばせて、優しすぎる。
こんな人、俺じゃきっと一生描けないよ。魅力をうまく伝えられなくて。
あっくんが俺に花を摘んだ時、周りの花を巻き込んだのか川に花弁が落ちている。
その揺れる花を見ながら、俺は心が落ち着いていく。
「多分ね、これから先、俺はあっくん以上に魅力的なパートナーに会える気はしないよ」
「和葉さん……」
「俺、初めてだから優しくしてね」
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