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第155話
「ぐ、具体的にもう一声!」
「ええ、もう一声?」
「俺が好きとか、俺がいいとか、俺のことが好きとか、俺意外いらないとか、貴方のためなら死んでもいいとか」
「ひー! 重い重いっ」
「重くないですよ。俺は今のセリフ、全部和葉さんに言えます」
拗ねたような声で、赤面して言うあたりあっくんは世界一可愛い。
俺があっくんをいつ好きになったとか、いつから好きかとか説明できないし分からない。
うまく伝えられないと思う。だから言うのは難しい。
口にできる言葉は、俺の気持ちを安っぽくするように思えた。
年下の、可愛くて格好良くて、優しくて甘やかしてくれて真っすぐで一途で、世界一の俺の嫁。
ぐんと背伸びして、唇を重ねた。それが俺の一番の気持ちになる。
「じゃあ、もう離さない。あっくんは俺のモノね」
俺の生涯ただ一人のパートナー。
そうわらうと、手を離された。
「あっくん?」
「あの、腰抜けた。見ないでください」
ふらりと壁に激突すると、肩を壁に這わせながらズルズル座り込む。
そしてグッと帽子を深くかぶり直し、真っ赤な顔を隠す。
「お、落ち着いたら帰りますので先に行っててください」
「いいよ。待ってる。あっくん、可愛いから、待っておく」
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