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第157話

枯葉が落ちる音一つ、お手玉から伸びる影一つ、触れそうで触れそうにない距離の隙間から見える庭一つ。 町田さんの一枚一枚の写真が美しくて、俺はそこに馴染む背景の一つにすぎない。 けれど今でも音が聞こえてきそうな、動き出しそうな写真の中に、ちょっとすました顔の自分がいるのは照れ臭い。 照れ臭いけど、着物が美しいせいか自分も綺麗に撮ってもらえていた。 俺が柱から顔をちょこんと出して撮影している時、庭であっくんが唐笠を振り回していた。 紫色の唐笠。蚊帳といい、彼は紫が好きなのかもしれない。 「辰崎さん、カメラ貸してください」 「いいですよ」 「ちょっと休憩しようか。芸術的な落ち葉の形が、もやはエロスだから眺めとくよ」  またトランスしだした町田さんを置いて、辰埼さんが撮った写真をチェックしてくれだした。 俺は縁側から降りて、辰崎さんのカメラであっくんを撮る。 閉じた傘を開き、隠れようとしたのでもっと近づいて撮った。 「何してるんですか」 「退屈そうなあっくんを撮りたくなった」 「退屈じゃないですよ。この傘をどの角度で和葉さんに持ってもらおうか考えてたんです」 「じゃあ、俺にしてほしいポージングして立ってみてよ」 する嫌がらずと、見返り美人の構図をしてくれたので俺は大声で笑った。 ――

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