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第162話
「やば、ちょっと起った」
「なっ」
「なんか可愛いのに綺麗だから。今、町田さんと辰崎さんがいなかったらやばかった」
はあ、とため息を吐くあっくんの頬が真っ赤だった。
自分的には、口紅塗られた自分なんて気持ち悪いだけなんだけどでも、あっくんが俺に興奮してくれて嫌じゃない。
それに俺も、セックスしたわけじゃないのにすげえドキドキした。
「えい」
辰崎さんと町田さんの死角から、あっくんの股間を握ってやった。
「!?」
「本当だ。40パーセントぐらいかな?」
「和葉さんっ」
さっきのお返しだ。べーっと舌を出したら、なんだか苦くて手で拭おうとすると両手を掴まれた。
「駄目です。口紅が落ちちゃうじゃないですか」
「なんか、舌があたったら不味かった。これってキスも不味いんじゃないか? やめとく?」
「やめませんよ。っと隙あり」
「ぎゃっ」
思いっきり掴まれて、思わず大声を出す。
「うーん。半分ぐらいかな?」
「ば、馬鹿っ」
「さーって、そろそろ二人並んだ写真撮って終わりにしますか。俺、明日はヴェネツィアで仕事だし」
町田さんの一言で、俺たちは40パーセントと半分立たせ、合計90パーセント反応した姿で並んで写真を撮ることになった。
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