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第165話

でも初夜って意識のない、いつものあっくんで安心した。 俺もテンションがおかしくて、いますぐおしりに顔を埋めておもいっきり息を吸い込みたくなったけど、我慢した。 彼も本当にいつも通りなのか、胸に耳を寄せるとまるで工事現場のようにうるさかった。 「まあ、好きな人を目の間にこうしてるんですから、心臓が煩いのは当たり前です」 「お、おう」 そこまで俺に緊張する必要あるのか、と思っていたら両手で頬を持ち上げられる。 唇が触れて、いつもより熱く感じる熱に、俺も心臓が爆発しそうだった。 大人の余裕とか、リードしようとか色々考えてたことが口づけ一つで吹っ飛んでしまった。 俺の髪に触れ、耳にかける。 その手が首に降りて、俺の浴衣の襟を脱がしていく。 あらわになった首元に甘く噛みついて、柔らかい痛みを刻んでいく。 そのまま足で浴衣の裾を踏まれ身動きができなくなって、暴れたら服は乱れていく。 崩れるように布団の上に落ちる。 覆いかぶさってくるあっくんに、俺は心臓と一緒に破裂しそうになりながら――イエスイエス枕をあっくんの胸におしつけた。 「えっと、えーっと、早急すぎましたか?」 「ちが、違うんだけど、その成り行きとはいえあっくんが学生っていう秘密を知っちゃったから、俺も言っとこうかなって思って」 上目遣いで見上げると、あっくんが鼻を押さえて起き上がった。 「引きこもりになった事件のことですか?」

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