170 / 268

第172話

「……俺も誤解してた。引き籠ったのは、れ〇プされたのか複数に襲われたのか、えっちを強要されていたのか――そんな恐怖に怯えていたのかと思いました」 「残念ながら、身体は綺麗なままだ。この先、童貞は卒業できないだろうな」 「……でも精神的にとても傷ついたのは、本当ですよね。俺に本当に手先の忍者がいたら、そいつらにどんなことをしていたか分かりません」 押し倒され、指を絡めながら布団に沈められる。両手を布団に押し付けられたのに、恐怖よりこの先の期待で足がもぞもぞする。 「和葉さんが一番最悪な結末を考えて自分を守るなら、俺は今後貴方に逆の結末をあげます。貴方を幸せにする。幸せにするけど、――ただ幸せにするんじゃないです」 右手だけ指を解くと、まずは自分の浴衣の紐を外す。 はらりと浴衣が俺の上に垂れてきて、喉が鳴った。 そして俺の浴衣の紐を掴みながら、優しいキスが再び落ちてきた。 「貴方が思う幸せ以上に、――あなたの一生を俺が誰よりも幸せにします」 解けていく。絹すれの音とともに、俺の浴衣の結びが解ける。

ともだちにシェアしよう!