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第172話
「……俺も誤解してた。引き籠ったのは、れ〇プされたのか複数に襲われたのか、えっちを強要されていたのか――そんな恐怖に怯えていたのかと思いました」
「残念ながら、身体は綺麗なままだ。この先、童貞は卒業できないだろうな」
「……でも精神的にとても傷ついたのは、本当ですよね。俺に本当に手先の忍者がいたら、そいつらにどんなことをしていたか分かりません」
押し倒され、指を絡めながら布団に沈められる。両手を布団に押し付けられたのに、恐怖よりこの先の期待で足がもぞもぞする。
「和葉さんが一番最悪な結末を考えて自分を守るなら、俺は今後貴方に逆の結末をあげます。貴方を幸せにする。幸せにするけど、――ただ幸せにするんじゃないです」
右手だけ指を解くと、まずは自分の浴衣の紐を外す。
はらりと浴衣が俺の上に垂れてきて、喉が鳴った。
そして俺の浴衣の紐を掴みながら、優しいキスが再び落ちてきた。
「貴方が思う幸せ以上に、――あなたの一生を俺が誰よりも幸せにします」
解けていく。絹すれの音とともに、俺の浴衣の結びが解ける。
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