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第177話

スローモーションだった。 だが俺はもう何日あっくんと一緒にいると思ってるんだ。あっくんの考えていることなんて大体わかる。 喉が大きく動くのと、俺がティッシュを口に突っ込むのはほぼ同時だった。 「飲むなよっ」 「っ」 止められて、驚きつつも悲しそうな顔をするあっくん。 いや、普通に考えて、止めるだろ。 「……あっくん、今俺が考えてること、分かる?」 俺は唇を触りながら首を傾げる。 すると不審に思ったあっくんが体を起こす。 そんなのもう遅いって。逆にチャンスだった。 「俺も舐めてみたい。本当に塩味がして、舌で掬っても掬っても溢れるのかなって――」 残念ながら、高校時代のあの事件は俺の心に傷を負うだけじゃなく、えっちに対してのハードルを下げた。俺にはエッチに対してのモラルは低く、好奇心は高い。 あっくんが一瞬期待したのを見逃がさなかった。 片手で握ると、座って俺はそれを咥えた。

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