175 / 268
第177話
スローモーションだった。
だが俺はもう何日あっくんと一緒にいると思ってるんだ。あっくんの考えていることなんて大体わかる。
喉が大きく動くのと、俺がティッシュを口に突っ込むのはほぼ同時だった。
「飲むなよっ」
「っ」
止められて、驚きつつも悲しそうな顔をするあっくん。
いや、普通に考えて、止めるだろ。
「……あっくん、今俺が考えてること、分かる?」
俺は唇を触りながら首を傾げる。
すると不審に思ったあっくんが体を起こす。
そんなのもう遅いって。逆にチャンスだった。
「俺も舐めてみたい。本当に塩味がして、舌で掬っても掬っても溢れるのかなって――」
残念ながら、高校時代のあの事件は俺の心に傷を負うだけじゃなく、えっちに対してのハードルを下げた。俺にはエッチに対してのモラルは低く、好奇心は高い。
あっくんが一瞬期待したのを見逃がさなかった。
片手で握ると、座って俺はそれを咥えた。
ともだちにシェアしよう!