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第194話

「あの、えっと」 「初めまして。立川 賢聖と申します。昭親君と同じく愛しいパートナーのために同性結婚を推奨してきた愛に生きるしがないただの男です」 そう言いつつ、名刺を渡してきたので受け取ると、この市の市長さんだった。 「こちら、パートナーの立川 凛矢。君より二つほど年上かな。今は私の秘書をしてくれている」 「はあ」 知的そうな眼鏡にストイックで清潔そうな男性。秘書というよりこの人を守る騎士みたいな、真面目そうな人だ。物静かな人だけど、市長さんの腰を普通に引き寄せている。 「シャワーを案内しますから、恵が来たらさっさと帰ってくださいね」  あっくんも脱衣所から飛び出すと、俺の腰を引き寄せた。 ので思いっきりその手を抓る。 「痛いっ」 「……俺、まだ無駄使いについて許してない」 「無駄使い!? 和葉さんのために使うお金に無駄なんて一ミリもないし」 「……ふうん」 「和葉さん、ちょっと庭でも散歩しながら話し合いましょうよ」 「お客様が来てるのに?」  立川市長と凛矢さんも心配そうにことらを伺っている。 「市長、やはり沖縄の別荘は諦めて、あのプレゼントだけ渡して帰りましょう」 「そうだね。喧嘩してるし、空気を読むか」 「喧嘩じゃないです」  あっくんが必至で言い訳しているけど、二人はにこにこと話を聞いているのか聞いていなあいのかあいまいな態度だ。

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