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第196話

「そうなんですね」 「それでも、これから同性結婚する方たちが日陰に隠れないように私たちがイチャイチャして、恥ずかしくないと伝えていきたいのです。結婚って二人だからこそできるものでしょう?」 にこにこと笑いながらも、ピンとした固い芯が見える。 注目浴びたり、理解してくれない人たちから攻撃されたりするだろうに。 ……あっくんだって、俺と結婚するって決めてから何も苦労してないわけじゃない。 きっとここまで来るのに、たくさん努力して、いろんな言葉を浴びて、それでも俺の隣にいることを選んでくれたんだ。 俺は高校時代、誰も俺の言葉を信じてくれる人がいなくなって、浴びなくてもいい注目が気持ち悪くて、全部から逃げ出したのに。 「帰るよ。君がとても幸せそうな顔をしていうから私たちはとても嬉しい」 「え」 「君が幸せになるためなら、昭親はほかのモノに執着しないよ。お金より、世間体より、彼の大切なものが君だったってことだ」 「そこまで思われて、幸せですよ」 なんて、お互いの腰を引き寄せてイチャイチャしている人たちに言われても――言われても。 胸が苦しくて目頭が熱くなる。 今すぐあっくんを抱きしめたいぐらい、彼が愛おしい。

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