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第199話
「か、和葉さぁぁああ」
「お、鯉が跳ねた」
つい小川の方へ体を寄せてしまい、あっくんは俺を抱きしめようとしたのか漫画のように大きくスカッと空振りしてしまう。
「あっくん、今の鯉、ハート形の柄だったかも」
「かーずーはーさーんっ」
「あはは、ごめんごめん」
告白しときながら、ついつい照れてしまっただけ。
とはいえ、ハート形の鯉も観れて満足だ。
「今日は」
「うん」
「初夜二日目、亭主関白な嫁になります!」
そう言うと、強引に俺をお姫様抱っこして屋敷の方へ戻る。
わずか数分の散歩だった。
俺はお腹を抱えてゲラゲラ笑ってしまう。
初夜二日目とか、亭主関白な嫁とか、日本語が迷子すぎる。
「あー、可愛い。しんどい。本当、しんどい」
「可愛くないよ。あっくんより早く歳を取るし、早く皺が顔じゅうに広がるし」
「は? 渋い和葉さんとか絶対綺麗でしょ」
恋は盲目とは言ったものだけど、あっくんは一体どの角度から俺を見ているんだろう。
靴なんて、放り投げて、お天気は雨のポーズ。
開けた襖は閉めもせず、寝室へなだれ込んだ。
布団に寝かされながら、俺もあっくんの顔や首にキスしつつ、亭主関白な夫になろうと聞いてみる。
「あのさ、本当のことを言ってほしいんだけど」
「はい」
「島ってどれぐらいすんの?」
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