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第203話

「じゃーん。聴診器に針のない注射器、包帯」 「あ、ああん。やばい。あっくん、格好いい」 白衣のあっくんが格好良すぎて、今すぐ押し倒して上に乗ってみたい。 「実は軍服買っちゃいました。深い緑色なんですが、これなんて言う色でしょうね」 「あっき、着てほしい。ううう。やばい。いけない健診してー」 思わず飛び出そうになった俺に、昭親先生は首を振る。 そしてドアを開けてエスコートしてくれた。 「俺、たぶんきっと、和葉さんと価値観とか常識とかずれてると思います。あと、和葉さんを基準にしてるから、判断がおかしいかもしれません。でも、努力しますから。こうやって和葉さんの好きなものとか探して、喜んでもらえるように、もっと細やかな喜びとか幸せとかも探しますから」 「……うん」 「だから、嫌にならないで欲しい。違う部分も受け入れてほしい」 「……うん」 抱き着いた。鼻に聴診器が当たって痛かったけど、涙が出た理由は違う。 あっくんの方が今までいっぱい、俺が10年引きこもりしていた間に我慢だってした。努力だってした。こうやって俺の前に現れてくれた。 さっき立川市長にそういわれたくせに、俺は馬鹿だ。自分から島の値段を聞いておいて、逃げ出して馬鹿だ。 「……俺も、馬鹿だしすぐテンパるし逃げちゃうけど、あっくんが好きだから、受け入れたいし、俺のおかしい部分も直すから、隣にこれからも居てほしい」 「和葉さん」 「……ああ。やばい。あっくん格好良すぎて直視できない。胸が破裂する」

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