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第204話

じいっと見ていたら、複雑そうな顔になったあっくんが口を尖らせた。 「やっぱやめた。脱ぐ」 「ええっ」 この世の終わりかと思うような絶望の声が上がると、あっくんはもっと拗ねた。 「俺よりコスプレした俺がいいのか。いや、コスプレが好きなのは知ってましたけど」 「あっくん?」 「札束持ってる本当の俺より、ぺらっぺらの白衣の俺か。そうか」 この嫁、もしかしてコスプレしている自分に嫉妬してる? それとも俺が、価値観の違うあっくんよりもコスプレしてる方が好きだと勘違いしてる? 「俺、あっくんが着てるからときめいてるんだけど」 「和葉さん……」 「大好きなあっくんがコスプレしたら、さらに格好いいってだけで嫌なら脱げばいいじゃん!」 「涙目で言われても説得力ないです。注射してやる」 ぎゅっと抱きしめる手の力が、強まった。 「今日も俺が注射してやる」 「くくくく。昭親先生、えっろーい」

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