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第211話

「ふぁっ」 鼻から抜けるような甘い声。 シーツの海の上を、手が掻き分けるように掴んで波を立てる。 伸ばされた足の先が、ピンと張り詰める。 「あっ……んんっ」 自分の声がこんなに甘く、喘げるとは思わなかった。 気持ち悪くないのかなと不安になってあっくんの顔を見上げる。 すると、額に浮かんだ汗が頬を伝い顎から落ちてきている。 その様子が、綺麗で見惚れてしまう。 俺の惚けた顔を見て、首を傾げ『どうしました?』と優しく聞いてくる。 そんな一言からでも、胸がじわりと熱くなるほど大切にされていて、幸せになる。 「もっと、動いていいよ」 「ふふ。了解です」 笑いつつも、余裕のなさそうな苦し気な様子で再び動き出す。 ぴちゃぴちゃと、そそり立った俺の熱が、何度もあっくんの腹に当たって水音とともに刺激を感じられた。 覆いかぶさってくるときに握られて、ポタポタとすぐに放ってしまった。 ああ、――時間が止まればいいのに。 こんなあっくんをずっと見ていたい。 そう思って、またキスをねだりつつ抱き合った――。

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