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第213話
襖を開けて愛しい、嫁に抱き――。
一瞬抱き着いたが、お風呂に入ってなかったことに気づいて一歩下がった。
「和葉さん?」
「ごめん。お風呂入ってないって言うか」
「ああ、ご褒美ですね」
ぎゅっと抱きしめられ、お前はそれでいいのか、と思いつつもあっくんを堪能する。
「もうだめだ。俺、もうエロ書けない」
「どうしたんですか? 昨日ネーム送ったはずでは」
送ったは送ったんだけど、総没だったのが悔しくて、あっくんの胸に顔を埋めてごしごし擦る。
「あっくん……」
「はい」
「縛っていい?」
あっくんを見上げる。上目使いで頼めば、軍服、野球ユニフォーム、警察官、バニー服、ありとあらゆるお願いを聞いてくれることを熟知している。
ので、聞いてみた。
「え――と、どちらかと言えば、縛ってみたいですけど」
「お願い、スランプなんだ。ネームが没になっちゃって」
「どんなネームなんです?」
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