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第215話

それから、俺の書斎であっくんを後ろ手に縛ろうと奮闘した。 俺の持っていた緊縛の種類の写真集を頼りに縛ってみた。 が、全然うまくいかない。 「うーん。ここ、くるくる雑巾絞りみたいになってるけど、どうなってるんだろ。完成形しか写真に載ってないしなあ」 「動画で調べてみたらどうでしょうか。そこに全く使ってない和葉さんの携帯がありますよ」 「あの携帯、充電器から外したら電源落ちるんだよな」 「それ、重電のしすぎて電池パックが駄目になったんですよ。何日充電したままなんですか」 「ほぼ、使わないときは充電してた。まあ外にでないからいいじゃん。ほら、ここをこうやって」 素人が本格的に緊縛しようとしたら難しかった。とりあえず複雑そうに見える感じで結んでみたら、次は解けなくなった。 「……えっとハサミで切れるかな。あっくん、腕力だけで縄切れる?」 「ふん! ……駄目です」 えーっとどうしよう、とあたふたしていたら、インターフォンが鳴った。 もちろん、縛られているあっくんが対応することもできず、俺は正直に辰崎さんに経緯を説明した。 辰崎さんは、『将来の竜宮海運を担う昭親様が……』と真っ青になっていたがなんとか許してくれた。 そして解くのも上手だった。 「和葉さん、俺の可愛いお願いも聞いてくれますか?」

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