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第217話

Side:竜宮 昭親 俺の愛しい恋人。 俺の大切な和葉さん。 ああ――。 「駄目だ。家に帰りたい」 和葉さんの居ない大学なんて、ルーの乗っていないカレーみたいな味気ないものだ。 「お前、せっかくこの前家に行ったのになんでパートナー見せてくれねえんだよ」 「ああ。恵。俺、もう帰るわ」 「無視かい。まあ、いいんじゃね。次の講義、休講かもって」 恵が眼鏡をあげながら、ニヤニヤ携帯を見ている。 頭はいいんだけど、どうして立川市長と違って清潔感がないんだろう。 すると俺の携帯も鳴った。 携帯はマナーモードで唯一和葉さんのメッセージだけバイブにしているが、この一か月鳴ったこともなかったのに。 『校門にいます。終わったら来てね。携帯は死んだ』 携帯は死んだってなんだ? 今メール打ってるじゃないか。 というか、和葉さんが外に出るのか? 「悪い、恵。パートナーが迎えに来ているので、帰る」

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