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第219話
俺の横の人物に、和葉さんが視線を向ける。
恵は、和葉さんの美しさに口を大きく開けていた。
「お友達と一緒だった?」
「いえ。問題ありません。なんなら友達止めてもいいレベルの相手なんで。行きましょう」
「うわ、やべ、息するの忘れてたわ。兄貴の相手は昔から家で働いてたからいまいち綺麗だって言われてもピンと来なかったけど――昭親のパートナーはやべえ、文句なし」
「そう。一応目はいいんだな。では」
「……あっくん、もしかして立川市長の弟君?」
和葉さんに言われ、渋々頷く。
すると和葉さんが、それはそれは綺麗な笑顔を恵なんかに向けた。
「いつも、あっくんがお世話になっております。お祝い、ありがとうございました、とお兄さんにお伝えください」
「えあ、は、はい。もちろんっす、わ、すっげ、すっげ」
恵が興奮しているのを、不思議そうに見つめる和葉さん。
恵の乏しい想像力の更に上にいた和葉さんに、言葉が出てきていないだけなんだけど、放置しておこう。
「和葉さん、行きましょう。恵はもういいので」
「でも友達……」
「友達より、俺は和葉さんが俺を迎えに来てくれたことが嬉しいです」
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