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第222話
一言で、俺を殺しにかかっている。
俺は、和葉さんの言葉ひとかけらで転がってしまう、ちょろい奴なのかもしれない。
「あっくんが、何をしてるのかなあ、って。俺のことをたくさん知ってくれているあっくんを、俺も知りたくなった。それに、もし友達とかに会ったら、ジャージとかじゃあっくんが恥ずかしそうだし」
「恥ずかしくありませんよ!」
「ぷぷ。俺、めっちゃあっくんにお世話になってるのに『あっくんがいつもお世話になっております』だって。竜宮家の忍者に暗殺されるか、闇オークション行きだわ」
「オークションもありません!」
すぐネガティブなこと考えるんだから、まだ俺の本気が伝わってないんじゃないのか、性分なのか。
今日は車で来て正解だった。いつもなら大学付近まで辰崎さんが送ってくれるけど指輪を取りに行こうと思ってたから良かった。
「あっくんの車、格好いいよね。座ってる下から空気出てる」
「あげますよ」
「いらねー」
ときどきふと、口調が悪くなるのも好きだな。
「……指輪ってジュエリーショップだろ? 男二人で入って、嫌じゃないの?」
「俺は全く。和葉さんと一緒ならどこへでも」
「……ふうん」
和葉さんがふいっと視線を逸らして窓の外を見る。
けれど耳が真っ赤なのは見逃さなかった。
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