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第225話

色々と嬉しくなることの連続だ。 ソレも全部、和葉さんが一歩俺に近づいてくれたから。 今までは俺が和葉さんの視界や、領域に勝手に入っていった。 そうするしか見てもらえなかったから。 でも今は違う。 俺が侵入したことで、広い世界に気づいてくれたんだ。 今日の日は、結婚指輪を取りに行く大切な日でもあるけれど、和葉さんの一歩踏み出した記念日にしよう。 俺が社長に就任したあかつきには、ここは祝日にして会社を休みにしたいレベルだ。 「あ、ここです。ここです」 車を止めようと店に入ると、すぐに店員が来て変わってくれた。 車を渡し、そのまま中へ和葉さんをエスコートしてはいる。 ここは俺のお気に入りのイタリアブランド店。腕時計から靴にバッグ、スーツはもちろん、家具も取り扱っている。 日本に出店するときにうちが援助したこともあり、特別に竜宮家ようにオーダーメイドもしてくれる。 ので、結婚指輪を作ってもらっていた。 「え、二階に案内されたよ」 「そ。今日は俺が予約してたから、二階は俺たちで貸し切り。ドンペリとか出てくるよ」 「ひ、ソファに一輪のバラが置かれてる!」

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