223 / 268
第225話
色々と嬉しくなることの連続だ。
ソレも全部、和葉さんが一歩俺に近づいてくれたから。
今までは俺が和葉さんの視界や、領域に勝手に入っていった。
そうするしか見てもらえなかったから。
でも今は違う。
俺が侵入したことで、広い世界に気づいてくれたんだ。
今日の日は、結婚指輪を取りに行く大切な日でもあるけれど、和葉さんの一歩踏み出した記念日にしよう。
俺が社長に就任したあかつきには、ここは祝日にして会社を休みにしたいレベルだ。
「あ、ここです。ここです」
車を止めようと店に入ると、すぐに店員が来て変わってくれた。
車を渡し、そのまま中へ和葉さんをエスコートしてはいる。
ここは俺のお気に入りのイタリアブランド店。腕時計から靴にバッグ、スーツはもちろん、家具も取り扱っている。
日本に出店するときにうちが援助したこともあり、特別に竜宮家ようにオーダーメイドもしてくれる。
ので、結婚指輪を作ってもらっていた。
「え、二階に案内されたよ」
「そ。今日は俺が予約してたから、二階は俺たちで貸し切り。ドンペリとか出てくるよ」
「ひ、ソファに一輪のバラが置かれてる!」
ともだちにシェアしよう!