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第234話
専用ヘリも持ってるって言ってたし、世界の金持ちランキング100位内に毎年入っているって、辰崎さんが暴露していた気がするし、俺には想像できないほど金持ちなんだろうな。
新婚旅行に『エターナルラブKAZUHA』って言う島を作ってしまうぐらい。
その本人は、車を適当に止めるや否や浜辺へ駆け出した。
砂でうまく走れないのか、靴を脱ぐとぽいぽい放り投げて、寄せては返す波に夢中になっている。
尻尾が見える。ブンブン尻尾を振りながら、可愛い。
はしゃぐあっくんを見ながら、手を伸ばす。
俺の手に輝いている銀色の指輪と、はしゃぐ彼を見ながらようやく理解した。
ああ、俺、結婚しちゃったんだな、と。
エッチして一緒に住んで、裸エプロン拝んで、結婚写真まで撮っておいて俺は、やっと今自覚した。
この指輪の重みを、今知った。
同時にあっくんの愛も。
指輪に口づけると、あっくんが振り返る。
「本人にも、キスしてくださいよー!」
ブンブンと両手を振って、本当に可愛い。
俺も靴と靴下を脱いで、あっくんに駆け寄る。
そのまま抱きかかえられたので、キスしてついでに耳を舐めてみた。
「好きだ―――――っ!」
海に叫びながら、くるくる回る。
当然、目が回ったあっくんは倒れてしまうので、俺は上から退かないでいつまでもキス、した。
何度も唇を重ねた。
今日、初めて知る。
好きな人と結婚できた幸福を。
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