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第242話

辰崎さんの声に、俺たちは座敷牢の中を見た。 「ミャア」 猫の声が、する。それも一匹ではない。複数の猫の声がする。 「……子猫?」 あっくんが中を覗くと、小さな子猫たちが驚き布団の中へもぐってしまった。 「あ、俺のパンツ!」 母猫が寝転んでいる下に、俺のパンツが三枚、敷かれている。 白くて、吸い込まれそうに美しい瞳の母猫が小さく鳴く。 私からこれを奪わないで、と懇願されているように見える。 でも俺のパンツなのに。 「いつの間に猫がここに入り込んでたんだろう。しかも子猫まで産んでる……。まあ下着泥棒じゃなくて良かった」 「私めも、座敷牢でプレイしてるかもと疑い大変失礼いたしました」 「あ、いえ」 プレイしたかったから布団が置いてあるに決まってるのだが、それは誤魔化す。 辰崎さんにばれたら怖いし。 「もしかしたらこの前通販で下着購入したとき、俺が門の開け方よく分からなくて、一回電源落としてセキュリティ解除してた時かも」 「もー。和葉さんの機械音痴。可愛いから許す」 「ごめんごめん」 あっくんに上目遣いで謝って置けば大抵のことは許されることはとっくに学んでいる。 ただし指だけはどうしても、許してくれない。

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