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第247話

意地悪な聞き方をした。そういえば、あっくんが困るってわかっていて意地悪を言った。 「……」 「あっくん?」 「……にゃー」 苦渋の選択と言わんばかりの顔で、鳴く。 「……この猫も可愛いから、結婚しようっと」 ぎゅっと抱きしめる。するとあっくんは猫の振りをするかのように俺の胸に顔を埋めた。 「……胸、ないだろ。鼻がつぶれるぞ」 「匂いを嗅いでいるんです」 「猫がしゃべった」 クスクス笑うと、あっくんがまた『にゃあ』と鳴く。 「馬鹿だな。世界中どこを探してもあっくんほど好きになれる相手なんていないんだから、猫ぐらいで妬かないでよ」 「でも世界中の皆が、和葉さんを好きになってしまう気がして、俺は結婚してからの方が不安です」 「あー……、いいね。『夫の留守中に、宅配業者が体に侵入しちゃうわ』とか? 宅配業者を逆に縛って調教しちゃって、っと。ネタが浮かんだ」

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