253 / 268
第255話
時は出航から22時間前。
猫四匹と親猫一匹にたらふく食事をとらせ、眠らせてから俺はろうそくを手に取っていた。
奇しくも今日は結婚して半年。
あっくん曰く、二分の一バースデーだとケーキを買ってきたのがはじまりだ。
俺は、美味しそうな高級二段ケーキを見ながら、ふと思いついた。
「あ、和葉さん、もしかしてケーキ入刀したい感じですか?」
「ちょっと待ってて」
「え、まじ? 俺もビデオに収めよう」
あっくんが狂乱乱舞してる中、資料のおもちゃの中からろうそくを取り出した。
「このろうそく、資料用に買ってたけど、プレイ用に低温で火傷しないって」
「はーい。しまって。駄目。和葉さんの綺麗な肌に蝋は解釈ちがいです」
「えー!」
いや俺も自分にするつもりはない。お肌の曲がりがどの三十代だし。
それに俺的には、あっくんの喘ぎがみたいわけだ。
「……あっくん、ちょっとだけ。ちょっとだけ縛ってもいい?」
「忘れたんですか。縛って辰崎さんに解いてもらったあの日を」
「あっくん、俺さあ、今」
下着履いてないって言ったらどうする?
耳元で囁くと、あっくんが唇をぎゅっと噛む。
「……確かめてみたいだろ?」
「ううっ」
ともだちにシェアしよう!