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第269話

「……大体さ、男でおっさんの俺を開発したのはあっくんだろ! 猫でも感じてしまうのはあっくんのせいなのに」 「…………」 急にあっくんの顔が真面目になって、数秒してから真っ赤になった。 「えっと、和葉さんってあんなに資料のアダルトグッズを持ってるのに一回も使ったことがないんですよね」 「そうだけど」 「尊い。尊いかよ。天然記念物保護法に引っかかって俺、逮捕間違いなしだよ」 ちょっと色々落ち着いてほしい。 色々とおかしい。 喧嘩は? 俺のこの怒りは? いつの間にかあっくんと話してると、そんなのが馬鹿らしくなる。 いつも全力で俺のことばっか考えてる人。 怒る俺の方が大人げなく感じる。 「君ってずるいな。年下の武器を全て持ってる感じ」 「その年下ってところが一番コンプレックスなんですけど。50代の渋いオヤジじゃなくてごめんねって」 う。 不覚にも上目遣いで首を傾げられたら、きゅんっとしてしまった。 うちの座敷牢のネコたちよりも俺はあっくんが可愛い。 世界で一番可愛い。 「もう怒ってないしデスノートではなくメモノートのやつはあっくんモデルで書かないから、今日は抱きしめて寝よう」

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