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第4話:夏の暑さが僕を狂わせた

 翼は誠司の手を握って、神社の境内に入って周囲を見渡すと、茂みと茂みの間に連れていった。そして誠司は、ようやく翼の目的に気づく。 「青姦って、もしかして外ですることか?」 「そーだよ。ホテル行く時間なくね? 金もったいないし」 「それなら……その、今日じゃなくたって」 「前戯は急げって言うじゃん?」 「言わないよ。それを言うなら、善は急げだよ」 「そうだっけ? まぁセイジも、はっちゃけなよ。俺のせいしていいから」 「そんなことできないよ」 「わお、ジェントルメン!」  茶化しながら、翼は最適な場所を見つけたのか、誠司を座らせ、すでにチノパンのファスナーに手を伸ばしている。 「ちょ、っと……本当にここで?」 「しー。セイジ、この近くで他のカップルがヤッてるから静かに、な?」 「ヤッ……」  翼との会話を止めると、確かに押し殺したような喘ぎ声がうっすらと聞こえた。 「セイジはさ、イイコちゃん過ぎるんだよな」 「それはそうかもしれないが」 「今夜は、悪い子になってみない?」  翼はパチンとウィンクをし、誠司の唇に自分の唇を重ねた。 「う、はっ……はっ…」  境内にある提灯の明かりしかない暗がりの中で、男にチノパンと下着を剥ぎ取られ、露出した局部を翼にしゃぶられている。びちゃびちゃと卑猥な水音を立てながらしゃぶる翼の口の中で、あろうことか、俺のそれは、翼の愛撫に、今まで感じたことのない快楽を得てしまっている。けだるい暑さも手伝ってか、抵抗することなく身を委ねてしまっていた。  別に翼とのセックスを受け入れたわけじゃなかった。けれど、ムシャクシャしてどうにでもなれと思っていたのは確かだ。 「なぁ、セイジのチンコ、でかいな」 「そう、かな?」  そもそも、そんなところを他人と比べたことがない。 「もうカチカチだ。早く入れてぇ。わくわくする」  翼の嬉しそうな顔に、どきりとさせられる。誠司だってセックスの経験がないわけではない。けれどこんな風にセックスを楽しもうとする相手に出会ったことはなかった。 「そもそも入るのか?」 「ちゃーんと自分でケツ馴らすから大丈夫」  慣れた手つきで、翼は自分の指を舐めて、浴衣をまくりあげて前傾姿勢になり、はぁ、と悩ましい吐息を漏らしている。自分の指を局部に埋めているようだが、その妖艶な表情に、誠司は胸が高鳴る。 「翼」  顔をこちらに向けた翼に、今度は誠司からキスをした。きっと上手くないキスだけど、今は無性に翼とキスがしたかった。自分の性器を舐めた翼の口の中は青臭い匂いと味がした。それが、ますます誠司を狂わせる。 「よし、挿れていいぜ。俺のナカ、清香ちんより絶対気持ちいいから」 「その名前を出すな」 「はは、悪い悪い。今は楽しもうぜ」  誠司に跨がった翼はゆっくりと腰をおろしてくる。じわじわと狭い孔に、天を向いた自分の硬いそれが押し進んでいく。苦痛に顔を歪めている翼の胸元にキスをする。平たい胸のその尖りに舌を這わせる。どこからどうみても正真正銘の男の胸だ。 それでも目の前の男は、誠司の舌の動きに、体をびくびくっと震わせる。 「俺、乳首舐められんの、超好き……」 「いっぱいしてやる」 「悪い子ちゃんのセイジ、最高だな」  翼の言葉は、もう我慢しなくていいのだと、言われているようで悪魔の甘い囁きに聞こえる。 「入った……っ」 「ああ、誠司の、俺っちのナカにいる」 「動いて、いいか?」 「優しくすんなよ。めいっぱい動け。俺、痛いくらい激しいのが好きだから」  翼の体を抱えるようにして、誠司は腰を揺らすように突き上げる。  はぁ、と息を漏らし、翼が仰け反る。雄々しい喉仏が目の前で揺れ、誠司はそれに唇を這わせた。キスをしながら、一定のリズムで腰を付き、翼の体重でより一層、翼の最奥へ到達する。 「やべ、誠司、気持ちい……っ、んっ」 「僕も、こんなの、初めてで……」 「もっと、こいよ」  煽られて、無我夢中で腰を振った。翼を四つん這いにさせて、後ろから激しく腰を穿った。  そのたびに翼は甘い啼き声を押し殺す。肩越しに誠司を、蕩けた顔で見上げる。その淫靡な顔にまた煽られる。最後は、体を押し倒し、翼の最奥で絶頂を迎えた。  誠司の額から汗がぽたぽたと流れても、組み敷いている男は気にすることはなかった。 「誠司……最っ高」  二人で息を荒くしながら、ぎゅっと抱き合う。汗でべたべたになっても、構わなかった。 「おかしいね、僕が初めて会った、しかも男とセックスしてるなんて」 「俺が誘ったってことにすれば? あとは夏のせいにしちゃえ」 「うん、そうするよ」  そして翼の耳元で、甘く囁く。 「もう一回、してもいい?」 「ああ、いいぜ。楽しもう」  翼の瞳は少年のようにきらきらと輝いている。  本能のままにするセックスがこんなにも気持ちのいいものだったなんて、知らなかった。もっと、もっと翼としたい。誠司は、再び翼とキスを交わした。

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