4 / 26
第4話
「ただいま」
家に着いて中に入る
当然『おかえり』なんて言葉は返ってこないけど、少しでも一人って実感したくなくて毎日言ってしまう
僕の親は母が有名なデザイナーで父がこれまた有名な料理人
両親共に海外に行っていて、小さい頃から家に帰ってくることなんて少なかった
帰ってきたって机の上にお金が置いてあるだけ
おばあちゃんと一緒に暮らしてたけど、中学に上がる頃に病気で…
リビングの置き手紙を読んで二階に上がる
制服のままベッドにダイブして、くまの抱き枕をぎゅっと抱きしめた
1人なんて慣れてるはずなのに、なぜか涙が頬を伝った
今更泣くなんてありえないと涙を受け入れず目を瞑った
この日は、そのまま眠ってしまった
ともだちにシェアしよう!