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第9話
ほんとに怖いんですけど…
僕は今保健室の椅子に座らされて
怪我の手当を受けている
さっきから先輩はずっと無言で消毒とか
したりしてて、正直怖い
でも手当自体はすごく上手くて
もう少しで終わりそうだ
慣れた手つき
誰かにしてたのかな?
幸い怪我は深くはなくて
でも浅くもなかった
手当の時に時折悲しそうな顔をする先輩
胸がなぜかぎゅっとなった
「あの…先輩?」
そろそろ喋っていただきたい
ほんとにね、無言で手当は怖いよ?
包帯が綺麗に巻かれていて
動かしてもきつくないし、簡単に外れたりはしなかった
手当が終わって、話しかけてみる
「…」
「先輩…?」
その時、ふわっと洗剤の香りがして
ぎゅっ
気づくと、僕は先輩に抱きしめられていた
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