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福岡サガ
「平太、辛くなかった?」
「うまかったよ、全部」
「ありがとぉ……平太は偉い子やねぇ」
夕飯の後、なぜか隣に来たサガ。
タブレットを右手で操作しながら左手で僕の頭を撫でるサガはまさに……仕事の出来る男。
「あっ、誕生日もうすぐやんかぁ……なんかお祝いしなあかんねぇ」
なんてすぐ気づくところ、イケメンだな。
「バイトが忙しい曜日は火曜と土曜で、日曜は必ず休みか……おっけぇー」
OKがひらがなに聞こえたのは、気のせいか。
「あとは……ああ、この順番かぁ、おもろ〜」
サガはタッチペンで花を描いた後、すぐに違うアプリを開いてサラサラと書いていく。
ちなみに順番は、花→奥まで飲み込め→抽象的なやつ→手→漢字→ブレイクスルー。
「じゃあ、顔合わせと名前付けのために1人ずつ癒しに来るからなぁ……では、1万円くださ〜い」
サガは悪い顔をして、左手を出す。
僕はポケットから黒い財布を出し、そこから福沢諭吉1枚を抜いて、サガの手に渡した。
ありがとぉといつもの調子で言って、サガはカバーのポケットに挟み、閉じる。
ああ、今日はこれで終わりかと、ちょっと切なくなってサガを見ると、キョトンとした顔をしていた。
「まだ終わりやないでぇ」
口角を上げ、僕の耳元に顔を寄せる。
「身体検査……させて?」
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