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2日目

 サガが残してくれたカレーと冷凍ご飯を電子レンジでチンして服を着替える。 服って言っても、いつもの白いTシャツとジーパンだけど。 カレー皿に盛り付けたのをテーブルで1人、銀のスプーンで食べている自分にちょっと淋しさを感じた。 「今日はどんな人が来るんだろ……ヤバイ日だしな」 火曜日は学校だとヘビーな科目が多いし、バイトでは新商品の展開とか割引とかをすることが多い。 だから帰り時間は遅いし、いつもの100倍疲れる。 「平和に生きたいぜ、ったく」 カレーをモグモグして飲み込み、ハァとため息をついた。  「‘‘帰りは21時半ぐらいになります。遅れるかもしれないので、すいません’’っと」 一応『\おいで屋/』にメッセージを入れて、スマホを閉じ、ごちそうさまと手を合わせたら……いきなり鉄琴音が鳴り響く。 「メッセージ入れたら電話が来るシステムなのか、これ……?」 半笑いしながら緑のボタンをタップして耳に当てた。  「ちょっとサガ、いきなり電話はヤメてよ! びっくりするじゃん」 「ほう、福岡とええ感じやったってことやな……坊主」 思ってた声とは別の深みのある低い声にびっくりしたのとなんとなく電話の向こう側の相手が思わぬ人だったから、胸が高鳴る。 「エッちゃんさん……ですか?」 日曜日に会った謎のワイルドイケメンのエッちゃんさんは癒しの6人には入ってないはずなのに。 「おお、そうや。おはようさん」 おはようございますと恐る恐る言うと、ふはっと笑うエッちゃんさん。 「そう怖がんな坊主。ちっちゃいおっさん、小人だと思えばええわ」 妖精とか小人とか、一体エッちゃんさんは何者なんだろうか……。 「そういえば、坊主……今日は大変な日なんやってな。気合い入れていき? 思いっきり癒したるから」 俺ちゃうけどなってクククッという声にまたクシャと目尻に皺を寄せて笑う姿が想像出来て、なんだか力が湧いてくる。  「ありがとう、エッちゃんさん。僕、頑張ってくるから」 人前では珍しい明るめの声で返すと、ええ返事や、と褒めてくれたエッちゃんさん。 「こうやってちょくちょく電話するのが俺の仕事やから、アンダーケアや」 「それならアフターケアだと思うよ?」 「おお、そうか。まぁ、今日はスゴイやつ行くからある意味覚悟しときや?」 また電話するわと言ってブチッと電話を切られたスマホをテーブルに置いて、内容を整理してみる。  「覚悟って……なにされんの、僕」 なんとなく昨日のサガの豹変を思い出して、身体がビクンと震えた。 「まぁ、エッちゃんさんに応援されたから頑張ろうっと」 なんとか気持ちを切り替えて、ニィッと笑うと、スプーンを乗せたカレー皿を持って立ち上がり、シンクへと向かった。

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